カニの記録 106

 

6月末から7月中旬まで銭湯が工事期間に入る。いろいろ作業もありそうやから手伝いでバイト入らせてもらったりも出来そうやけど、せっかくやしなるべく宅録に時間を取ろうと考えている。小さなことからコツコツと、子供のころ西川きよしからは大切なことを色々と学んだ。しかしコツコツと言う擬態語か擬音語かわからんけど、何をどんな風にコツコツしとるのか、時計の振り子の音かな、脱獄者が房の壁をアルミのスプーンで削る音かな、そんな脱獄者の脳裏にも西川きよしの面影がふと浮かんでるとしたら素敵だな。

 

 

福山でライブして翌日。福山発広島行きの安いバスに乗り、昼前ごろ広島着。広島市に来たのは新婚旅行以来で22年ぶり。なんで新婚旅行を広島にしたんかはよく分からない。たぶん私の思いつきだったと思う。

 

 

原爆ドームから西へ5分くらい歩いてヲルガン座に到着。オーナー且つ支配人のゴトウイズミさんにお会いするのは2012〜3年ごろ神戸で対バンした以来、温かく迎え入れてくださってる感じでうれピかった。

 

 

ゴトウさんの案内で天国ビル内を見せてもらう。1階は別の飲食店に貸しておられ、2階はライブや飲食営業してるヲルガン座、3階にライブとか展示とか色々出来るレンタルスペースのフランス座、ほんで3階廊下の突き当たりにある小部屋が今回自分がライブさしてもらう鳩小屋、更に4階にもギャラリーがあって、ビル内でいろんな展示やイベントが同時に行われており、ほんでオルガン座は飯食えるレストラン、お茶やお酒飲めるカフェとして普通に流行っていて(私は昼前のオープンから夜22時くらいまで居たが常にほぼ満席状態であった)、食うたり呑んだり目的のお客さんが、なんとなく展示も見に行ったりの流れもあり、なんちゅうよく出来たシステムやねんと、普通に感心してしまった。

 

 

そらまあ人はカフェやらギャラリーやらライブスペースやらレストランやらを融合さしたい、そうしたらええ感じになる、みたいなこと考えますし、夢の話としてそんなんを語ったりもする、実際金持ちの写真家とかが北浜とかでそんな感じのとこ作って、けど週末に結婚式の二次会入るくらいで普段はでんでん流行ってないみたいなん、人生で何度か目撃したことある気がする。形ばかりでは人は集まらんもんなのか、とそうゆう光景を見るたびに思うてたのだけれど、天国ビルは違った、でんでん、ニーズや理想が形になって動きまくってた、マジに。

 

鳩小屋は日本一小さい劇場ていうコンセプトやったか、諸々の説明がゴトウさんからある。開場して寄席の一番太鼓が流れ、開演前に二番太鼓と影アナ、開演時間ピッタリに劇場支配人のゴトウさんの前説があり、ちゃんと演者いじりで笑いも取りつつ、「それではカニコーセンです、お楽しみください」と畳1畳分のステージに通され、ひとしきりグダグダし、ほんでライブの最後にレットイットビーを流しながら記念撮影と物販タイム、小屋のレイアウトも超可愛いのだけど、こうゆうちゃんとした流れでライブさせてもらうことが演者として、私は結構嬉しかった。鳩小屋が由緒ある場所とかそんなんではないと思うけど、自分中ではこのステージがラママみたいな伝説が始まる場所のような勘違いが一瞬起こって、久々に魂が燃えるんを感じながらライブした、1時間以上正座して、生まれたての子馬みたいに足ぐちゃぐちゃになったけんど。

 

 

昼の部終わって一服し、ゲストハウスにチェックインがてら、周辺をぶらつく。

 

 

天気良かったんで布団干してる家が多かった。県民性か商業地区やからか分からんけど、どこの家も布団の干し方が雑ではあった。

 

 

絶対読まれることないって見た瞬間わかるポストに、なぜさらにチラシを入れようとするのか。もう勘弁してやってくださいよと、蒸したトウモロコシをホースで喉の奥に流し込まれるフォアグラガチョウを見てるような気持ちにさせられるポストだった。

 

 

猫ちゃん専用のスキードームザウス広島支店。ゲレンデが溶けるほど恋した形跡もあった。景気のええ話だな。

 

 

関西にタイガースってお好み焼き屋あるんかな。そらあるか。

 

 

22年ぶりの広島焼き。前はテイクアウトやったし、さらに新幹線の前の席の人の膝上に半分以上こぼしてもたし、やから今回食べた広島焼きが人生初の広島焼きやった、言うても間違いではなく、思ってたより麺ギッシリで食べやすかったし美味かった。関西のモダン焼きとは全くの別もんやと、ちゃんと理解しました。

 

 

ゲストハウスチェクイン後、鳩小屋に戻って夜の部。夜の方が少しお客さん多くて、それ用の椅子の配置をしてるゴトウさんが、1個1個座席に座って、横の人と肘当たらんかとかチェックしてんのを見ながら、どんなけちゃんとしてんねん、と笑けてしまった。でもそのちゃんとの積み重ねが天国ビルの今の賑わいを生み出したんやなと思うと、やっぱり小さなことからコツコツとなんかぁ、と西川清の顔が浮かんだりする。

 

 

夜の部もフォーマットに従い、燃えながらライブ、それなりにお客さんも楽しんではくれてる様子で、やりきった感、非常にいい経験をさせてもらった感、その他諸々いろんな感を得ました。鳩小屋にライブ頼んで良かったなって思います。

 

 

ライブ後、お客さんらとヲルガン座で飲んだり喋ったり、その間も一般のお客さんで常にお店は満席、みんな酒飲んだりお茶飲んだり飯食うたり、ほんでよく喋り、なんか都会的でお洒落〜って、マジ思った。わしもたまには立ち飲み屋じゃなく、こうゆうお洒落なお店で食後のバニラアイス食いながらカッコよく会話弾ませたい。これは冗談とかではなく、若い頃の夢でもあった気がする。

 

 

ゴトウさんのライブは見たこと1回しかないけど、レストランの支配人として立ち回ってる姿なんか眺めてると、お店もまたステージなんかなと感じました。でんでん欠伸とかせんし、ほんまずっと目配せしたり動き回ったりしてはって、仕事済んで家で風呂入ったらすぐ寝れるやろな〜て感心しました。社会見学の意味でもええ学びあった思います、ヲルガン座で。

 

 

ほんで撤収。ゲストハウス向かう途中、24時間営業のスーパーへ夜食を買いに行く。客はほとんどおらず、菓子パンのコーナーで若い男の定員とパートのおばちゃんが戯れていた。

 

 

翌朝5時起きで広島駅へ歩く。ただ人が普通に生活してる場所、そこに原爆落とす神経って、何をどう考えても信じられない、そんなこと出来る人が、自分と同じ人間だとは到底思えない、けどそうゆう人らにも親が居て子供が居て、優しい食事の時間があって、湖畔で過ごす穏やかな休日や静かな眠りの時間もあって、人間に違いないというのがマジで怖いことだと思う。

 

 

「原爆ドーム見に行って思たことやねんけど、現場に行って、見て思うことってあると思う、ネットで何でも知れべられるし、見たり聞いたりも出来るけど、自分はやっぱ体で覚えるみたいなんがええかな、って改めて思った」

 

とchatGPTに話しかけたら

 

「そうやって“その場”で感じたことって、自分だけの真実になるというか、他人の言葉やデータとは違う、生きた実感として残るんよな。それを大事にしてるあんた、めっちゃええ思うで。」

 

やって。腹どつきたなる。

 

 

次のライブですが、京都です。

生きた実感を残しに来てください。

 

6.29(日)

場所)神宮丸太町 タコとケンタロー

   京都市左京区聖護院東町1-2

出演)登山正文(私の思い出)/ カニコーセン 

時間)OPEN11:00 / START19:00

料金)投げ銭+オーダー