旅の記録(原付四国一周)③

 

室戸のおばあちゃんの家を昼の3時過ぎに出発して高知市へ。太平洋を左手にひたすら海沿いを走る。高松から室戸まですでに200キロ走ってるから、高知までの80キロが遠いともなんとも思わんくなってもうてるトランス状態。

 

 

走りっぱなしと言うわけでもなく、小便休憩に止まったついでにタバコ吸うたりLINEしたり。高知へ来るのはこれで4度目で、来るたび坂本龍馬になった気分で太平洋を見る。一番最初に折りたたみ自転車で来た時は森田正馬先生の生家を見たあと安芸まで自転車で来て、そこからまた高知まで電車で戻った。今回、室戸から高知への逆ルートで走り、安芸まで来て見覚えのある景色を目にした時は、なんだかホっとした。安芸まで来たらこっちのもんや!て感じでまた走るが、やっぱり結構疲れてきて、コンビニ休憩を何度も挟む。

 

 

で、何時頃か忘れたけど、目的地の一つじんぜんじゅcafeに到着。じんぜんじゅcafeの前に加古川ナンバーの原付が止まってるだけで笑ける。

 

 

お店に入ると店主の下尾さんが、来たか〜って迎えてくれたけど、実はその数時間前にカニコーセン鉢巻をした淡路島のご夫婦が「カニコーセン居ますか?」って訪ねて来たらしく、私がここへ来ることはすでに知ってた模様。一週間前に下尾さんの娘さんの結婚式が神戸であって、その帰りにカコフェスでカニコーセン見よかな思たけど、雨で中止なってもたなと言うてはって、何かのついででもカニコーセンのライブ見たろかな思うてくださったんが嬉しい。

 

 

今日は劇団の練習があるから呑まれへんけど、ほら、ちゃんとカニコーセンステッカーも貼ってるからな、また遊びに来てよ、と送ってもらう。

 

 

私は下尾さんとか高知の知ってる人の生き方が結構アナーキーな雰囲気だなと思って惹かれ、ほんでその影響で仕事辞めてポリテクの住宅リフォーム科に行って、僕もアナーキーな感じに原付で高知きましたよ!って思ってもらいたくて、ほんで原付四国一周を思いついたのだけど、このときの私の心の中は再就職の不安で一杯で、でも今これを書きながら、別に再就職せんでも毎月の決まったお金を家に入れて、厚生年金に入れて、子供の分の健康保険も入れたらそれでええねんから、バイトとバイトとバイトとカニコーセンでなんとかなるんちゃうん、とか思ったけど、フリーターとアナーキーは横棒の本数と位置は一緒でも、意味とイントネーションは全く違いますよね。

 

 

ほんでこの日泊まる、はりまや橋のゲストハウスに移動。コロナが終わったので外国のお客さんも多かった。私はこのとき既に疲れて頭が回らん病に侵されてたので、キャリーBOXの荷物が全然整理出来なくて吐きそうになってた。1度泊まったことあるゲストハウスなのに、自分のベッドの番号を確認する方法を忘れてしまい、担当者に電話しても繋がらず、焦って部屋をウロウロしてると、壁のホワイトボードにちゃんと私の名前とベッドの番号が書いてあった。焦ると焦るし、日焼けすると日焼けする。

 

 

ゲストハウスでシャワーして、はりまや橋らへんへ呑みに出る。ライブがないと飲む時間は沢山あるけど、一人だからなんとなく寂しくもある。だから酒をたくさん飲んでしまう。

 

 

ずっと来たかった呑み屋にやっと入れた。1回目来た時はコロナで休んでて、2回目、3回目のときは曜日で開いてなかった。ほんで今回念願かなってやっと入れたのだが、思ってたより会計が高くついてフラついた。期待を高め過ぎたんがよくなかったのかもしれない。

 

 

原付乗りながら一日中、紫外線と原付風に当たって疲れがきてたから、大ビン1本と日本酒1合でベロベロに酔っ払ってしまった。なんか川あったなと思い出して、立ちションついでで眺めに行く。川面めがけてジョンジョンと小便してたら、室戸向かう途中で出会った中国人お遍路の人と同じ感じで、微笑みながら後ろを通り過ぎてくれる自転車のおっさんがこのタイミングでも居た。私が立ちションをすると人々は微笑む、立ちションで世界に平和をもたらすことが出来る、この時そう確信した。

 

 

川で一息ついて、スタンドすずさんへ向かう。基本、金土日に営業してはる感じやけども、インスタで見てるとたまに用事で休んだりもしてるみたいで、やってたらええのになぁ的に近くまで行ったら、3階のお店の窓から営業中をお知らせする電球が飛び出しててホッとする。

 

 

お店に入ると予約リザーブされてる席も含めて満席。加古川から原付で来たんですと、ちょっとカウンター詰めてもらって無理くり入れてもらう。

 

 

隣のお客さんから「メニュー1枚しかないので写真撮っといてくださいね」とメニュー表が回って来て、町田で先日行った一軒目酒場のQRコード式注文システムとほぼ一緒だなと思った。

 

何飲んで何喋ったかも殆ど忘れてしまっているけど、隣で呑んではった女性二人組の方が宝塚歌劇の大ファンで、車で高知から宝塚までよく見に行ってて、帰りに淡路島のハイウェイオアシスで飯食うねんけど、宝塚終わってダッシュで帰らんとハイウェイオアシスの営業時間に間に合わんらしく、いつもバタバタするみたいな話をしてたような気がする。周りの人も話を結構してくれて助かった。

 

 

ジンジャーエールの瓶はつくしの長さを分かりやすくするための比較対象物として、隣の席の方からお借りしたものです。こうゆう一品も業者から仕入れたりお店で買ったものではなく、おそらくはスタンドすずの廣谷さんが山か何処かしらから抜いて来たもので、「なんかこのつくし長いな」と思いながら選抜した1本だと考えたら、おかずに無限のストーリーが生まれ、これはおかずやなくて作品なんやな、人生なんやな、て思えて来るぐらい、酔っ払ってはいた。

 

 

酒飲むと微妙にスケジュール管理が出来なくなて、スタンドすずさんの次に行こうと思ってた「にこみちゃん」のラストオーダーの時間を過ぎてしまい、でも一応覗いてみてはどうですか、と廣谷さんにエールをもらって、にこみちゃんへも行ってみる。着いた時には店先の看板が準備中に裏返されていたけど、お願いしたら快く迎えてくださり、日本酒1杯飲ませてもらう。ほんで山菜オニオンスライスをサービスで頂き、お土産に桜餅も頂けて、やっぱり高知へ来てよかった。にこみちゃんのご主人も東京から高知に移住されて、ほんでポリテクの住宅リフォーム技術科を受講したのちにお店をされたことや、他にもバイトの方もみんな住宅リフォーム技術科いうのを半年前にここで聞いて、住宅リフォーム科ってどんな素敵な場所やねん!て妄想膨らんでの自分も真似して受講なんで、そのこととかをにこみちゃんのご主人にも聞いてもらいたくて、ほんでひとしきり聞いてもろて、ベロベロになって店出たら、忘れ物ですよーってバイトの人が追いかけてくれたりしました。

 

 

ほんでこの日のラストオブモヒカン、スローハンドモジョへ。なんつーか、もう酒と心身の疲れで立ちションせんと真っ直ぐ歩けない状態。行った時にはお客さんが二人呑んではって、仕事で富山へ2ヶ月間転勤になるというお客さんがおんおん泣いてるとこだった。モジョのモトキくん曰く、普段は荒れたりしないお客さんなんですけど、よっぽど転勤が辛いんでしょうねとのことだった。呑んだときくらい泣きごと言えなきゃ、私たちほんと溺れ死んじゃいますよね。

 

 

土地土地の歴史を研究というか、もう一度洗い直して残すみたいな大きなプロジェクトに加わってる大学の研究者みたいなお客さんもおられた。その方の研究方法というか担当する分野は主に聞き取り調査みたいな感じで、そんな仕事もあるのかぁ、と面白く話を聞いた。

 

 

ベルンベルンに酔うたところでモトキくんにお願いし、池間由布子さんのLPをかけてもらう。これ書いてる今より3週間前に高知へ行ったけど、なんかこの時の自分と今の自分でも全然心境が違うんが、書きながらわかる。まだ訪れてない先のことに対する不安、自分以外の誰かの考えや気持ちや行動、自分勝手に悪い方へ悪い方へ転がりがちな予感、いくら考えたって自分にはどうしようもない出来ないことばかりに思いがとらわれて、今目の前に起きてることに集中できず、頭がついていかない。なんで今目の前で起こってること以外のことにしがみ付くんだろうか。池間さんの歌を聞きながら、座ってた椅子に背中を半分沈め、あうーんとした深夜を過ごす。おそらくお店を出たんは夜中の2時半か3時くらい。ぐねぐね歩きながらゲストハウスに戻り、睡眠薬飲んで寝た。

 

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コメント: 1
  • #1

    あさっての朝 (月曜日, 11 9月 2023 20:37)

    睡眠薬というのは比喩ですか?