旅の記録(原付四国一周)②

 

夜行フェリーで高松まで行き、徳島への60キロを走ってる途中から。四国回ってる途中にとったメモを洗濯してしてしまったし、時間も経ってるので、何があったのかも結構忘れてしまっている。

 

 

Googleでナビすると、車で走った場合のおおよその時間が出てくるのだけど、原付なので車の2倍くらいの時間がかかる計算で走る。走ってる途中に気になる景色があっても、いちいち止まって写真をとるべきなのか迷う。そんなことをいちいちしてたら、いつまで経っても進まない気もする。途中、可愛いロゴの喫茶店が見えて、モーニング350円と看板に書かれてたので一瞬入ろうかどうか、写真だけでもとって人にLINEしようかと思ったけど、結局スルー。後々走ってるうちに距離と時間の感覚がわかり、あの喫茶店は寄るべきだったなと後悔した。高松に到着したときは夜も明けてなかったけど、徳島へ向かう途中にだんだん明るくなって、交通量も所によっては増えてくる。ダンプが後ろから来たときは、路肩に止まって抜かしてもらうようにした。

 

 

徳島駅前らへんに到着。無くしたメモには場所場所の到着時間も書いてあったので、何時に着いたのか自力では思い出せない。スーツに革靴で原付通勤してるサラリーマンを見かけたから、たぶん8時前くらいかな。コンビニの駐車場で大伴さんの海苔巻きを半分まで食べる。原付で結構冷えたのでコンビニのホットコーヒー飲みながらタバコ休憩。四国廻る4日間で20杯くらいコンビニのコーヒーを飲んだ。

 

徳島からはBGMを台風クラブに変え、気持ち新たに室戸へ向かおうとするが、朝の渋滞で道は混んでいて、徳島市街を出るまではスイスイとはいかなかった。市街地を離れ、山道になってしばらくしたときスマホに電話がかかって来て、出ると半月前くらいに面接を受けた会社からだった。前向きに検討してくれてるとのことで、二次面接の日取りを決めるための電話だったが、山の中で電波状況が悪く、途切れ途切れの会話になって印象悪くしたかなとか、ちょっと心配になった。結局はその会社は2次面接受けたあと、何と無く雰囲気が合わなそうだったので、自分から断りの電話を入れた。

 

 

原付のいいのは、止まりたいところで止まってもあまり交通の邪魔にならないころで、小便したくなったらその都度停車して立ちションしまくった。すごい山道のところで立ちションをしてるとお遍路してる男の人が私の後ろを通りかかる。男同士の暗黙の了解というか、まあ立ちションしてる人の後ろ通るときに会釈なんてする決まりはないのだけれど、その男の人は(あ、立ちションですか、いいすね)という感じで会釈しながら通る気配がしたので、私も小便をジョロジョロしながら、男の人の方へ五分の一くらい体を開いて会釈。すると男の人は私が小便終わるまでジッと後ろで待っててくれて、チャックあげながら私が男の人の方へ向かうと「ぜんぜんうみないですねー」と、中国語訛りなカタコトの日本語で話しかけて来た。男の人はぜんぜんお遍路っぽい格好ではなく、かといってアウトドアっぽくもなく、コーナンで売ってそうなジャージを適当に着てる感じで、お遍路に対する意気込みが見た目からは感じ取れなかった。男の人の話しかけに「もうちょい歩いたら海見えるんちゃいますか」と適当に返し、全く会話弾まないままパーティーは終わり。

 

山道をまたしばらく行ったところで急激に腹が減ってきて、あったコンビニで味噌汁と貼るカイロを買う。コンビニのイートインスペースで大伴さんの海苔巻きを全食い、とうとう私のきびだんごがなくなってしまった。

 

 

大阪のライブのお客さんでナベさんという女性の方がおられ、私が原付で四国へ行くという情報をSNSで入手してたみたいで、ならば室戸の私の実家で昼ごはん食べればいい、と言い切りの形でメールをもらっており、なのでとりあえず昼くらいには室戸に到着せねばならんことになっていた。徳島から高知に入り、東洋町というところの道の駅で、ナベさんに教えてもらった実家の番号に電話をかける。私とおばあさんの接点があまりにも薄すぎて、いきなり電話したらオレオレ詐欺みたいになるんじゃないかと心配していたけど「娘から聞いてるよ」とフレンドリーな感じで、おばあさんは話してくれた。ナビで見ると室戸のご実家までは車で35分くらいで、だから原付だと1時間以上はかかる計算になる。だけどおばあさんは「じゃあ、あと30分後くらいに着くな」と計算を間違っておられ、「いや〜原付なんで30分はちょっと無理ですわ1時間ちょっとで行ける思います」と訂正するが、おばあさんのそろばんではやっぱり30分らしく、これ以上訂正するのがやや面倒になり、「はい、30分で」とファイナルアンサー、原付フルスロットルで室戸へ向かう。途中でウエットスーツ姿の沢山の人々がサーフィンしてる海の横を通り過ぎた。たしか北海道の小樽の手前の海でも、こんな光景を見た気がする。灰色の荒波の上に100羽くらいのカラスがプカプカ浮いてるように見えた。

 

 

お昼過ぎに室戸のご実家に到着。余裕で30分以上は経ってたので、心配になったおばあさんが家から出て、道の角のとこで待ってくれたてた。庭に鉢植えが沢山ある古くて趣のある木造のご自宅で、廊下や建具の木面が人が歩いたり触ったりする摩擦でピカピカに輝いていた。台所に入るとパキパキと天ぷらが揚がる音が聞こえて、急に腹が減ってくる。いただいたお昼ご飯の、それぞれのおかずの名前もメモに書いていたので、自力じゃ思い出せない。大皿の左はタラの芽とかかな?ちゃうかな?でもどれも優しい味付けで美味しく、ご飯もおかわりさせてもらった。お昼を食べ終えて、加古川で買ってきた法楽あられをお土産でお渡しし、そろそろおいとまするつもりで「原付で室戸岬へ行ってみますわ」と私が言うと、おばあさんが「ならあたしの車で行けばいい」と申し出てくださって、おばあさんツアーへ出発。

 

 

最初に向かったのは、海苔の養殖場。だだっ広い海辺の駐車場に車を止めて、おばあさんと2人、ぐるぐる攪拌されてる海苔を眺める。こんな近くで海苔をみたことがなかったが、植物なんだな〜ってことがよく分かった。養殖場の社長さんぽい人に話しかけると、高知の海で海苔の養殖場をしようとすると波が荒く、安定供給が出来ないゆうことで、陸地に養殖場を作ったらしい。最初は3個しかなかったらしい養殖用のプールも今は20個近くあり、わりと儲かる仕事なんかもしれない。

 

海苔に飽きたので次の場所へ移動する。車が走り出して間も無く、新開地のボートピアの前におりそうなおっさんが駐車場のトイレの前のベンチでぼんやり座っているのを見かけ、思わず「ええ感じの人いますね」と私が言うと、おばあさんは「あの人、あかんねん」と言うので「アル中ですか?」と私が返すと「そう」とだけ返事あって、おっさんの話はそれでおしまい。

 

 

道路の脇に室戸岬何某と書かれた看板がちらほら見えたので、おばあさんに「見たいです」とお申し出ると「見といで」と単独行動を勧められる。おばあさんが海苔に興味はあるけど、室戸岬には興味がないことが分かった。おばあさんに車で待ってもらうことにして、小走りで室戸岬のある方へ向かう。地図で見る室戸岬は思い切り尖ってるように見えるけど、実際近くに行ってみると、そんなに尖ってはおらず、どこが先っぽなんかが分からなかった。おばあさんが車から降りてこない理由もなんとなく分かる。室戸岬へ足を踏み入れてから30秒くらいで、また小走りで車へ戻る。助手席に乗ると、待ってたおばあさんから「ジオパークいうのもあるけど行く?」と聞かれ、なんかそれは時間が結構かかりそうなので断った。

 

 

なんかお土産買うたるわということになり、野根まんじゅうという饅頭屋へ行く。昔はおばあさんの故郷の東洋町らへんにああったお店らしい。

 

 

天皇陛下献上品とかスゲえじゃん。てことは秋篠宮佳子さんも毎日食べてるってことじゃん。

 

 

店舗に併設の工場へ行く。野根まんじゅう製造マシンで、女の人がじゃんじゃかと饅頭をこしらえていた。マシンから出てきた饅頭は蒸し器で蒸されて箱詰めされる。3〜4人の従業員が忙しそうに動き回っていた。これは相当繁盛してるっぽい。あとで聞いた話だとマシンに就いてたのは社長の奥さんらしく、社長さんは今ご病気で入院中らしい。奥さんはまだ高齢というほどではなかったけれど、でも奥さんが歳いって饅頭が作れなくなることも先々はある感じで、ここでも後継問題が感じられた。繁盛してるお店やのに、後継がいないことで経営が途絶えてしまうのは、すごく勿体無く思う。饅頭屋に限らず、喫茶店とかクリーニング屋とか町工場とか、後継さえいれば、、みたいな、きっと日本中でそうゆうことが起こってるんだと思う。わしが野根まんじゅうの後継になってもかまへんのやったらなりたいけどな。

 

 

饅頭屋の次は、私の要望もあって地元のスーパーへ。

 

 

おばあさんが晩飯の買いもんしてる間に、地元にしかなさそうな売りもんを探して回る。茎昆布はどなして食うもんか分からんけど、体には良さそう。

 

 

マンボウ食うんかぁ。なんか汁がめっちゃ出てるんが気になる。

 

レジを済ませたあと、おばあちゃんは知り合いの人に偶然出会出くわし立ち話。会話の邪魔にならないように、私は少し距離をおいてぼんやり待つ。ひとしきりして立ち話は終わり、おばあちゃんは知り合いの人から綺麗なトマトか何個かもらっていた。その人の車がいなくなってから、おばあさんが「あの人、市会議員の奥さんやねん」とボソッと言うので、賄賂もろてもうてるやんと勝手に思った。

 

 

その後おばあちゃん家に戻り、お茶よばれながらおばあちゃんの話を小一時間聴く。旦那さんが亡くなったときの話、子育ての話、親戚の話、墓じまいの話、居間や仏間の壁に飾られてる家族の写真を眺めながら、その時々で色々あったんだなと面白く聴かせてもらった。

 

 

ほんで、おばあちゃんの親戚には落語家や広島カープの元投手や有名人が多く、あんたこのあと高知へ行くんだったら、落語会の宣伝をしといてくれと頼まれた。チラシあったら配っときますけど、と聞くと、チラシはないとのこと。あんま誰も読んでない旅日記に一応チラシの写真載せときますね。

 

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コメント: 1
  • #1

    あさっての朝 (月曜日, 11 9月 2023 19:50)

    賄賂は笑う