コブログ218

10月27日土曜日。ライブで仕事休み。朝飯を喰いながら新聞を読んでると「これやばくない」と云いながら嫁さんがジョーシン電気のチラシを見せてくれた。

ほんとだ、やばい。阪神タイガース伝統の縦縞ではなく、おもっくそサイケなデリック柄になってもうとる。電気屋で3万円以上の買いもんした人から先着で2万名にフリークスポンチョを配るらしい。阪神を応援するのをアイデンティとする人らを加古川に於いてその時々観察してると、どんどんヤバなっとるいうか、ワンピース好きな厳ついトラックの運ちゃんみたいな、幼稚とバンカラの融合が感じられ、郊外独特の捻れた文化がいい感じで育ってきてるなと思う。端的に云うと阿呆みたいな格好の阪神ファンが増えたということである。

午前中は小学校の音楽会を見に行った。音楽会の最中、さかんに「撮影された写真をインターネットに掲載する行為は固く禁止いたします」とアナウンスされており、そこれもこれも全部わしがEXブログ時代に散々好き勝手書いてもうたせいやろか、とか思ってしまう。合奏合唱はどの学年も夫々に特徴があって、とくに2年生なんかは自由な雰囲気で延び延びしてて良かった。6年生の出番は最後で、合唱してる長男や同じクラスの子、前に同じクラスだった子の顔を観てると、こないだ小学校入ったばかりや思ってたのに、もうこんなに大きく成ってしまって、、、みたいなありきたりな事をほんとに思うんだなぁ、と思った。カノンのリコーダー演奏を聴いてる最中、回りのお母さんとか泣いてる人も居て、言葉よりも笛の音色の方がダイレクトに感情に訴えてくる場合あるよなと思う。とても良い音楽会だった。

音楽会のあと浜松までライブしに行くので、子供らの晩ご飯用のコロッケ等を買いにきむら精肉店に寄る。前は50円だったコロッケも今は80円まで値上がりしている。

肉屋の向いに在ったれんばい市場はすっかり壊されて、今はマンションの工事が着々と進んでいる。コロッケが揚がるのを待つ間、工事現場に高くそびえるクレーンをぼんやり見上げながら「今日は建築日和だねぇ」と嫁さんが云うていた。揚げたてのコロッケを嫁さんと半分に分けて喰う。30円値上げした分、肉の量が少し増えてる感じで前より美味しくなった気がする。

 

昼から軽四で浜松に向う。遠目の場所のライブでも夫婦で遣るとなれば、息子らを留守番させるので日帰りせざるをえず、それでも地元以外の場所でライブ出来る機会があるのは嬉しいので、片道4時間くらいだったら何とか参加したいと思っている。こないだ加古川バイパスであったトラックと軽四の玉突き事故では軽四がペシャンコになって何人か死んだらしく、そんなんも気になってトラックの前後には出来るだけ付かないように運転した。

2時間くらい運転して瀬戸大橋の与島パーキングエリアでうどんを喰う。うどん県なのでテーブルが釜あげの桶になっている。お店はすごく空いており、すごく不味かった。サービスエリアで旨いもん喰いたいと期待する方が間違ってるのだが、うどん県にあるんやからもうちょい頑張ってほしい。

 

松山でお土産さがす時間もなさそうなので、息子らへのお土産はパーキングのお店で買うことにする。

困った某です、と夫々自覚するのは結構なのだが、反省の気持をTシャツで表すんはセコいと思う。もしも知り合いがこんなTシャツ着てたら観て観ぬフリ決めこみたい。ていうか知り合いじゃないフリすると思う。

こんな高級デニムベスト、一体誰が着こなせるんだろう?と、頭の中で色んな人間にベストを着せてみた。ますだおかだの増田いけそうで、山田雅人もいけそうで、ジェリー藤尾も大丈夫そう。

 

うどん喰うたらやっぱり眠たくなって、嫁さんに30分ほど運転交代してもらい寝る。ほんで17時前に松山のライブハウスに到着。

お店に入ってライブ前のあれこれを準備してると、便所から出て来た嫁さんがちょっと興奮気味に「トイレ行った?行ってみ、すごいから」と云うのであとから小便しに行くと、バイキン君の縫い包みがあった。嫁さんは小学校のころ、クラスのバイキン君好きな友達らと「バイキン君クラブ」と云うのを作ってたらしい話を何度か聞いたことがあり、久々にバイキン君を観て感動したのだろう。

リハーサルのあと20分ほど松山の繁華街をぶらぶらする。大きな商店街を歩いてるとハロウィンの格好した人と度々すれ違った。商店街は若者も多く、三宮のセンター街くらいの賑わい方。カラオケ屋の前で松山大学のバスケ部のジャージ着た男の子ら数人が女子らと戯れていた。バスケの子はみんな2メートルくらい身長がありそうで、あの小柄な女の子とあの巨人症の男の子はどんなセックスをするんだろうと、想像しながら虚ろな気分。

 

ライブハウスに戻る。

この日はDJ挟みながらのライブで、彦根から来たDJの子が面白い音楽を掛けていた。ライブのメインは思い出波止場の津山篤さんで、その前に私らがライブさしてもらい、さらにその前に地元の山本セロ云う男の子が20分ほど遣ったのだが、この子のライブがほんとに酷かった。7年半ほどの自分のライブ活動で、いろいろ酷いバンドやソロのライブも観てきたし、普段の生活に於いても他人がほたえてるシーンなんかに出くわすし、その都度ラインキング的なもんや殿堂入りなんかもあって、でも山本くんがライブ始めて3分も経たないうち「あ、もうこの子がチャンピョンやな」って思った。

便所サンダル履いてエレキギターのケースを雑に斜め掛けしてる山本くんの姿を観て、10年何年か前のベアーズっぽい世界感を志向する子なんかなと思いながらライブが始まるのを見守る。酔うてダラダラしてる様にも見えるが、緊張や気恥ずかしさを隠すためにダラダラしてる様にも見える。「ボアダムスの某云う曲遣りまーす」と云って痙攣しながらアカペラで歌い出すと、会場から笑いが起こる。何が面白いのか全く判らないけれど、きっと何か理由があって皆笑ってるんだろうと思って、一緒に笑い、時々「イェーイ」とか云って囃してみる。そのあと何の前触れもなく岡村靖幸をディスりだし、なにかしらそれにまつわる歌のような歌でないようなことを叫んだりしている。立って見てるのが辛くなり、椅子に座って眺める。

「40中頃のバアアがCD買うから(岡村靖幸が)調子のるねんやろ」みたいなことを叫ぶ。私は岡村靖幸について全く疎く、でも90年代初期のあの人のスタイルが奇抜で、そう云うのが苦手なタイプの人にはムカついて写ってた云うのは何となく判るが、それから四半世紀が過ぎ、現在の岡村靖幸がどんなのか知らないけども、もうそれなりに年も取って落ち着いてるであろう50歳前後のミュージシャンとその取り巻きを相手に「調子のってる」と云うのも的が何処にあるのかサッパリ判らず、それにまず「40中頃のババア」って云うのがマズいよ、と思って嫁さんの方をチラッとを盗み観ると、口は笑ってるものの、目に感情がまるで投影されてなく、眉毛と眉毛の間に断層が出来てもうてるやないか。ほんとにマズいよ、君。ライブ前にチューニングしてたエレキギターはアンプに繋がず、カシャカシャと指で引きながら、即興なのか予め準備して来た曲なのか、そのどちらとしても人前で今やる理由がない「俺は動物園で、彼女が水族館で」みたいなのをヤリだす。愛想で笑うのも疲れてきたので、真顔でジーッと眺める。もともとお客さんが少ないのもあったけど、全体的に場の空気が冷えだすと今度は「お客が悪い」とボヤく。「死ね」とか吐き捨てる。昼から4時間半運転して松山に着き、一服する間もなかったので私は疲れていたし、お酒も呑んでなかったので冗談を冗談と捉える余裕がなかったのも確かだし、まぁ悪条件増し増しでの山本セロだったにしても、時間が重なるごとに溜息が漏れ出し、頑張って笑うのを諦め、能面みたいな表情で、ユーチューバーが密室でいちびってるような光景が終わるのを只々待つ。

はるばる加古川から軽四フカしまくって松山までやってきて、なんでこんなライブ観させられなアカンねんとか、とうとうそんな事まで考え出し、もう自分らの出番もええから、黙って荷物持って帰ろうかなとか考え出す。でも周りの人はわりかし温かい目で見守ってるし、多分自分だけがこんなに脱力してるんだろうなと思って、心の中の大原敬子先生にテレホン人生相談してみる。

 

「今あなたが山本さんのライブ観て気分を悪くしてるのはね、それはあなた自身の中にある山本さんと同じ価値感に向き合うことに対する恐れなのよ、あなたね、心当たりあるでしょ、ライブでチンポ出したりしてたわよね、その現場に居たお客さんはあなたのことどう思ったかしら、たぶん馬鹿な奴だと思ったでしょうね、そしてチンポ出すキャラクターでもないのに、頑張ってチンポを出し続けてたことに対してあなた自身はどう思ってる?凄く後悔してるわよね、そんな自分が自分であることが耐えられないわよね、だからあなたは山本さんを直視出来ないんじゃなかしら?それしか考えられないわよね、わかる、だから今日に関してあなたが加古川からわざわざ遣って来たって云う理由はね、あなた自身が山本さんと同じく糞つまらない人間であることを自覚するためなの、だからもう逃げちゃダメ、もう一度云います、あなたは糞つまらない人間なの、目の前の山本さんはね、あなた自身なのよ、だから観なきゃ、そしてね、ギュっと抱きしめてあげなきゃ、おわかり頂けましたか?では加藤先生つづきよろしくお願いします」

 

大原先生から的確なアドバイスを頂き、ライブの続きを観る。山本くんは沢田研二のモノマネみたいなことをしている。最早笑ってる人もいない。スマホで写真を撮るフリをすることだけが、いま私に出来る唯一のリアクションだと思って、どうせ後で消すだろう写真をカシャカシャと撮り続ける。何年も高額なスマホ代払い続けてたけど、いま一番スマホ役に立ってる気がする。スマホにカメラを付けることを思いついたノキアのエンジニアに感謝する。ほんで最後の2曲といって山本くんの口から「オシリペンペンズ好きや」と吐露され、ああーーーーーああーーーーーーああーーーーーーあああーーーーーーなるほどうーーーーと分析がまとまる。オシリペンペンズの解釈に於いて多分いちばん掬うのが難しい箇所のみに山本くんは照準を絞り、オシリペンペンズのコピバンをしようとしてるわけで、オシリペンペンズのライブは2回しか観たことがない自分が分析するのもあれだけど、あの人らはカリスマ性で遣っとるから、カリスマ無い人がカリスマしたら、そら痛々しいことなるわ。ライブで包茎のチンポ出して笑いが起こらないことに対して「客が悪い」とは、流石にわたしも其所までは思わなかったと思うけど、心の奥では客のせいにしてたのかもね。

ライブと諸々を終えて23時に松山をあとにする。車が走り出して暫くすると嫁さんが「あれはあかんは」と山本くんの駄目出しを始め、思う所を笑いに変換しながら吐き捨てていく。「エレキギターをアンプに繋がないのは卑怯者のすることだ」「下手でも何でもいいから最低アンプには繋げ」「アンプ繋がないならギターを斜めにかける資格がない」「エレキを諦めてしゃもじを弾くべきだ」「反省と葛藤がない破れ被れは砂場で小便もらしてる3歳児だ」「芸の底が浅いというより窪み自体がない」「窪みがない云う意味で彼はスカムでもなければなんでもなく只の“トゥルトゥル”だ」「そうだ彼は只のトゥルトゥルだ」「松山おっかねーーー」と無心に言葉を吐き続け、おそらくだけどお互い松山で負った厄を加古川に持ち帰っては成らないと考え、何とか瀬戸大橋渡るまでには成仏させないとと必死になってたんだと思う。坂出を通る頃には嫁さんも私もスッキリし、そのまま嫁さんは寝てしまい、わたしは常時110キロをキープしたおかげで、行きは4時間半かかった道を3時間半で戻り、帰ってオニコロ呑んですぐ寝た。